星住叶奈の遺書

理奈、いや叶奈。
あなたがこれを読んでいるということは、私はもう叶奈の前にはいないと思う。

勝手なことをして、ごめん。
叶奈が嫌がることはわかってた。
悲しむこともわかってた。

でも、叶奈は人間に戻って、幸せになるべきなんだ。
だから、星住叶奈を返すね。

言ってなかったけど、私はずっと同胞の宇宙人に帰ってこいって怒られてた。
私はスパイみたいなもんだったからね。
警告を無視してたら、ついに向こうがキレちゃってさ。
私は処分されることになったんだよね。この処分は殺されるって意味ね。
だから、私には時間がなかった。

あと叶奈がずっと気にしてた地下の右の扉ね。
あれ実は叶奈のお父さん、星住巌さんの研究室だったんだ。
お父さんはずっと叶奈とお母さんを救うために呪いの研究をしてたの。
私はそこの鍵を偶然見つけて、叶奈のお父さんの意志を継いで、蜘蛛化を治す薬を作る装置の開発に成功した。

でも、蜘蛛化の因子を滅ぼしきるには、材料にどうしても私が余すことなく必要でさ。こうするしかなかったんだ。
同胞が私を処分しにくる前に、叶奈がどうしようもなくなる前に、あなたを呪いから解放する薬になるしかなかった。

ここまで読んでる叶奈は今滅茶苦茶怒ってると思うけど、というか裏山で私が話してるはずだから経緯は書かなくてもよかったかな?
遺書というか、手紙を書くこと自体初めてだから読みにくかったらごめん。許して。

三年前、裏山で叶奈に救われてから、星住叶奈として生きて、学校に通って、叶奈と過ごして、本当に楽しかったよ。

でも、叶奈が日に日に苦しそうになっていったのは、耐えられなかったし、許せなかった。
私は今まで十分楽しかったし、叶奈が苦しむのは見たくなかったし、叶奈を助けるために戦えるならそれでよかったし。
そういうわけで、これでよかったんだと思う。

私は叶奈の中にいる。
ずっと一緒。
だから、寂しくないよ。

でも、もう話はできないだろうから、
これだけは書いておくね。

叶奈、今までありがとう。

さようなら。
ずっと、ずっと幸せにね。