トニーの日記

漂流して7日が経った。
ハルもロデリックも、もう限界だ。
互いに声を掛け合い、耐え、しかしもうだめだ。

あの船に戻りたい。
そればかりを考える。
我らが戦友、ノーホエイル号。

もうだめだと、誰かが呟いた時だった。
朝日が昇るその遠く、小さな島が見えた。

わたしたちの中にまだオールを漕ぐだけの気力があったことに驚いた。
不思議な衣服を着た異人達は、海からやってきたわたしたちに驚いたようだが、快く迎えてくれた。
船に詰んでいた故郷の品を渡すと、食事と小屋を分け与えてくれた。

幸運だ。

ロデリックは彼らを、出会ったときの風景に例え【朝焼けのひと】と呼び、島人はわたしたちを【マレビト】と呼んだ。

希望に満ちた日々だった。
わたしたちが成してきたことが、生を尊ぶ約束が、こうやって実を結んだのだ。

ハルは島人たちとの別れを惜しみ、声をあげて泣いた。
彼は特に島人に可愛がられていたから。
ロデリックもわたしも泣いた。

島の代表の老人が、小舟と、食料、それと白い縄と本をくれた。
貿易品のお返しだろうか。

【朝焼けのひと】の島から出立して、わたしたちは深い霧の中、一艘の船を見つけた。
声をかけても返事がない。

考えた結果、わたしたちはその船を借り、ふたたび故郷をめざすことにする。

願わくば、イッカクの守護があらんことを。