彼女の訃報を聞いた。
まだ受け入れることができない。
あまりにも若すぎるじゃないか。
……もうロックを続ける意味も分からなくなってきた。
皆を騙すことにも疲れた。
来年のライブで終わりにしよう。
ちょうど20周年、キリがいい。
以前から耳鳴りが酷い。
そういえば、あの本には確か死者蘇生についても書かれていたはず……
いや、馬鹿な考えはやめよう。
そんな自然の摂理に反するようなこと、きっと彼女も望んではいないだろう。
また変な音が。
ロックを辞めようと思った時はいつもそうだ。
変な音が脳に直接響いてきて、思考の邪魔をする。
これが神の怒りの声なのか?
なんとかして、この音を消し去る方法はないのか。
耳を塞いでも、部屋に別の音楽を流しても、あの音は聞こえてくる。
今もすぐそこで、見えない神は俺を見ているんだ。
五月蝿い。
でも、あの方法を使えば、一瞬だとしてもこの五月蝿い音を打ち消せることが分かった。
もしかすると、追い払ったり倒すこともできるかもしれない。
もっと勉強して、1つの曲としてまとめることはできないものか。
先生が言っていたあの石は、昔彼女にあげたものによく似ていた。まさか。
……そうだとしても、とっくに処分されているだろう。
第一、今更返してくれなどと親族に言えるはずもない。
もう20年も前の話だ。
耳元。
あの妙な音が。
五月蝿い。
もう作曲どころではない。
今、すぐにでも、気が、狂いそうだ。
ああ、五月蝿い。
ライブは明日だ。
なのに、まだ曲は完成しない。
五月蝿い、うるさい、うるさいうるさいうるさいうるさい。
───でも、どこか心地いい